ま・・・マジかー!!
美術やっている人には超がつくほどおなじみの「美術手帖(愛称:美手帖)」を出版して来た美術出版社が民事再生法を申請したというニュースが世に激震を与えている。
最近買っていなかったので、すこしだけ「美手帖」大丈夫かな?と心配していた矢先だっただけに、ビックリした反面やっぱりか、とも思った。(少ない経費で頑張っているのは知ってました。)
美大生達にとって「美手帖」は本当に聖書のごとく愛読された専門誌で、「美手帖」に己の作品が掲載される事は、その辺の雑誌に載るよりもうれしかったし、誇りだった。
13年前くらいに無名の僕の作品を最初に取り上げてくれたのは「美手帖(ギャラリーレビュー)」だった。超うれしかった。だから今回のニュースは残念でしかたない。
家には「美手帖」が何冊かあるが、実家に帰れば
ズラーっと70年代から2000年代になるまでの「美手帖」が並んでいる。僕と同じようなアーティストは沢山いると思います(笑)。
それくらい毎月買っていたし、古本屋で昔のバックナンバーを見つけると必ず買っていた。
しかし、
ここ5年くらい前から、だんだん買わなくなっていった。
個展の情報など今や美手帖ではなくなり、ネットで調べてしまう。
そういうこともあるとは思うが、なんか毎月の特集に僕が惹かれるものが少なくなって来たように思っていた。
だからまず本屋さんで立ち読みし、これは面白そうだ(知識として必要だ)と思った号は即買ったが、そうではないものは買わなくなった。
「毎月買わなくては罪だ」くらい脳に刷り込まれていたので、買わないときは罪悪感があったが、それにもじきに慣れ、ここ1年くらいは本屋さんで立ち読みすらしなくなってしまっていた。
僕がこれなので、全国で同じような40代50代の方がきっと沢山いて、全部あわせれば大変な損失だろうとは感づいていた。
最近の「美手帖」の特集はアニメや漫画などサブカルチャーものが多く、強引にアートに結びつけている感が否めなかった(サブカルにアート性は内在しているとは思う)。アニメなどは僕の世代的にもあまり興味がないし、僕としては、もっとマイナーな現代美術のアートシーンを見せてほしかったかなと思う。
それこそ、80年代90年代の「美手帖」は、キーファーのような色のないインスタレーションのいわゆる現代美術!が主流だったし、2000年に入って、村上隆や奈良美智、会田誠などポップな日本のニューウェーブが出て来て、売れただの、世界進出だの、言って盛り上がった。それが2010年くらいまではこの風潮だったかな。みんな今と違いお金が無い中アートシーンを盛り上げていた。
本当にいい時代だったと思う。
その頃お金がなかったが勢いのあった若いギャラリーやアーティストも今や成熟し、ある程度の冨も得て飽和状態になっちゃったかな。
最近、アートの状況もだんだん昔と変わって来た印象があった。
今回の美術出版社の倒産が、また一つの時代の変化を示唆しているように思う。
時代の転換期に我々はいると強く感じる。
アートシーンは間違いなく変わるだろう。
深堀隆介
Riusuke Fukahori