2016年11月7日月曜日

5歳児死亡のTDW 木製ジャングルジム火災事故

皆さんもすでに知っていると思いますが、昨日東京デザインウィーク(TDW)のイベント会場にて、木製ジャングルジムが燃え、5歳の少年が亡くなった事故について。



2年前に私もTDWに参加したものですから、この事故はよそ事ではありませんでした。
一般的に現代アートのインスタレーション作品の中には、かなり危険なものも時々あったりします。客層はアート展示に慣れている人が多い為、皆、そういうアートの見方を知っていて、ある程度危険な方がウケたりしています。

そのためか、こう言った展示会ではついつい危険なものも容認されがちだと思います。
特に学生や若い人の作品展(自主企画系)には多いです。

しかし、近年の公共の場やデパート、美術館などは消防法が厳しくなり、おが屑のような素材は許可されないと思います。難燃素材が義務付けられています。なぜTDWでは許可されていたのか疑問です。
また、消火器の設置も何mに何本と厳しく決まっている筈です。
今回の映像を見ると消火器の消火作業が遅く、近くに消火器がないことが伺えます。この辺の消防対策はできていたのかTDW運営側の消防法の対策の不備が問われます。

燃えやすい物に一回火がつくとみるみる内に大きくなり、バケツに水を汲みに行っている場合ではなくなります。こうゆう時こそ消火器が必要だと、みんな大人になると理解するのですが、今回の事故は、みんな若かったため経験不足、危険回避の想像力の欠如がもたらしたものだとも言えます。


この火の恐ろしさを一回でも経験すると「家でも消火器買っとこう」と普通は思います。


僕も学生の頃、大きな炎を使ったインスタレーションをしました。そのとき選んだ場所が、2mくらいの葦の群生している広場でした。私は、その中で大きな焚き火をおこそうとしていました、しかも消火器もなかったと思います。その時は「全く危険と思っていなかった」んです。完全に知識不足です。

本番当日の昼、私の知らない内に、ある先生が草刈機で葦を全て切ってしまったんです。私は、内心「見栄えが悪くなった!なんてことしてくれたんだ!」と思いました。

しかし、今思うと先生が大正解で、もし先生が葦を切ってくれなかったら、きっと大惨事になっていたと思います。あの葦の群生地で大きな焚き火を行うなんて、自殺行為でした。

今のこの歳ではあのような危険な発想はしませんが、当時の私は危険度より、表現や見栄えにこだわっていました。もしもの事故に備えるということはまず二の次でした。

それから現在まで、イベント中の事故などに何度か遭遇したので、今では危険回避をまず考えるようになりました。

今回は学生たちが見栄えを優先してライトを仕込んだことが原因ともいわれています。誰か近くに監視する先生などいなかったのかと、今更悔やんでも仕方ありませんが、そう思います。

私も、自分がこれから行う展示などで危険が潜んでいないか推考し、より一層危険回避を徹底して防災に努めていこうと思いました。


奇しくも今回の焼死事故の一昨日、私も作業中に白熱球で腕を大きく火傷してしまいました(↓前ブログ「子供達と山下公園へ」参照)。白熱球ってこわいなと思った矢先に今回の事故でした。

そしてまた、亡くなられたお子さんが我が子と同い年で、さらにはお父さんも私と同い年・・・・・この事故は他人事ではありませんでした。

ご両親の辛さを考えると、昨晩明け方まで寝つけませんでした。




今回の火災事故で亡くなられたお子様のご冥福を心からお祈り申し上げます。そしてご両親様はじめご遺族様には、何を申してよいのか言葉も見つかりませんが、心よりお悔やみ申し上げます。




深堀隆介
Riusuke Fukahori













1 件のコメント:

  1. ニュースを知って、最初に深堀さんのことが頭に浮かびました。
    一昨年、ライブペインティングを行った会場、、、
    死亡してしまったお子さんの年齢、、、親御さんの年齢、、、
    きっと、心を痛めているだろう、と思いました。
    私も、深堀さんをきっかけに、TDWを知ったので。。。
    制作する立場ではなく、見て楽しませていただく立場ですが、
    このニュースは他人事には思えませんでした。

    何かを表現することって、こういった面でも縛りが沢山あるんですね。
    より目立つ方、より際立つ方に向かいがちだけど、
    芸術という要素から一歩引いて見る冷静な目がないと、
    催し物が根本から崩れてしまうんですね。
    楽しく拝見している芸術作品の舞台裏に、
    こういったリスクだったり、その安全策だったりが組み込まれている可能性を、
    見て楽しむ立場の私たちが改めて意識するきっかけになりました。

    作品を作る学生の気持ちも、小さな子を持つ親の気持ちも、
    どちらも自分と重ねることが出来る深堀さんのことだから、
    きっと、このニュースに傷ついているのではないかと思って、、、
    なんだかコメントを送らずにはいられませんでした。
    「元気を出して」みたいな言葉は、相応しくないですけど。
    深堀さんの目の前の小さな幸せを、かみしめて、大切にして過ごしてくださいね。

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