2015年5月6日水曜日

ほっこり美術館と題された裏には




今、横須賀美術館で開催中の「ほっこり美術館」展。


「ほっこり」という和む作品をテーマにした展覧会なのですが、

僕にオファーが来たときに、ちょっと疑問もあった。






自分自身「ほっこり」という言葉はこのとき初めて聞いたくらいの言葉で、どういう状態の事を「ほっこり」というのかわからなかったことと、

学芸員さんがアトリエに来てくださった時も、僕は今回のテーマが本当に自分に適しているのか尋ねたくらい、僕の作品が「ほっこり」なのか、わからなかったからだ。




4年くらい前に上海のアートフェアでの展覧会のとき、ご一緒したギャラリーオーナーの方に「深堀さんの描く可愛い金魚には刃(やいば)がある」と獲物を狙うトラの目のような顔で言われたことがあった。


僕は、この時ばかりは「(この人には見抜かれている!)」と心の中で驚いたのを覚えている。


そう、僕の作品は、一見和む金魚のいる風景のような作品ですが、その背景にはいろんな感情や、皮肉を含めたりしています。

もちろん何でもない小さな作品でも積層して描くという技法で何日も掛かっているということなど、和みの裏にある異常性なども内在しているのは事実です。

だから、最初にオファーをいただいたときに疑問に思ったわけです。



しかし、今回のほっこり美術館展に出品している他の作家たちを見て、学芸員の人たちが何を考えているか何となくわかってきた。

他の作家さんの作品を見ても、ただ単に「ほっこり」でもなく、その裏側にあるドロドロした感情などが内在している作品のように感じたからだ。



そういった意味では、「この絵は皆様をほっこりさせるような作品を描いたんですよ。」と絵描きが言っていたら、モヤっとすることこの上なしですね。





深堀隆介
Riusuke Fukahori








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